2024年12月26日
今回は趣向を変えて高校入試です。 2010年ラサール高校 数学 第6問 を取り上げます。問題文は以下の通りです。
図において、△ABCはAC=10、BC=4、∠ACB=90°の直角三角形で、△ABDはAD=BD、∠ADB=90°の直角二等辺三角形である。線分BDと線分ACの交点をE、直線ABと直線CDの交点をFとするとき、次の問いに答えよ。

(1) ADの長さを求めよ。
(2) 線分の長さの比 BE:ED を求めよ。
(3) 線分の長さの比 DC:CF を求めよ。
(4) △BCFの面積を求めよ。
ぱっと見、それほど難しくなさそうです。小問を順番に解いていきます。
小問1の解法
これは単純に、3平方の定理を使って計算するだけです。
まず、 AB の長さを求めます。
AB=AC2+BC2 =102+42 =229 次に、三平方の定理を △ABD に適用します。この3角形が二等辺三角形であることに注意すると、
AD=21AB =58 となります。変な値なのがちょっと気になりますが、とりあえず先に進みます。
小問2の解法
まず、四角形 ABCD が、 AB を直径とする円に内接することに注意します。すると明らかに、△AED と △BEC は相似で相似比は 58:4 です。 BE:ED を求めたいので、
BE=xAE=y と置きます(図2)。
図2 すると
ED=58−xEC=10−y なので
y:x=58−x:10−y=58:4 が成り立ちます。
よって
{58x=4y4(58−x)=58(10−y) なので、これを解いて
xy=7458=758 を得ます。
ゆえに
BE:ED=x:58−x=7458:7358=4:3 です。
小問3の解法
相似比を駆使してDCとCFの具体的な値が計算できそうなので、その方向で考えてみます。
まず DC ですが、小問2を解く過程で BE および ED の長さが具体的に得られているので、△EDC ∽ △EAB であることを利用します(図3)。
図3 小問2で
BEAE=7458=758 であることがわかっているので、 △EDC と △EAB の相似比は
====CE:BE10−AE:BE10−758:7458712:74583:58 です。したがって
DC=583AB=583×229=32 です。
次に CF の長さですが、ここで △DCA ∽ △BCF であることに注意します。実際、 四角形 ABCD が円に内接するので、
∠ADC = ∠FBC
です。
また
∠DCA = ∠DBA = 45°
∠BCF = ∠DAB = 45°
なので
∠DCA = ∠BCF = 45°
が成り立ちます(図4)。
図4 △DCA と △BCF の相似比は DC と BC の長さの比で、その値は
です。したがって
CF=324CA=3202 であり、
DC:CF=32:3202=9:20 です。
小問4の解法
本問で面積がわかっている三角形は △ABC なので、これをうまく利用できないかと考えるうちに、 AB と BF の長さの比が △ABC と △BCF の面積比だと気が付ければ勝ちです(図5)。
図5 小問3で △DCA と △BCF の相似比は算出済みなので、 BF の長さはソッコーわかって
BF=324DA=3429 です。 AB=229 であったので、△BCFの面積は
20×3429÷229=340 です。
解法のポイント
コツをつかめば何とかなります(Anastasia GeppによるPixabayからの画像) 本問のように線分の長さや比を求める問題の場合、使用するツールは主に以下の通りです。
また、小問2で見たように、図形が円に内接している場合は見逃さないようにしましょう。円周角などを使って相似関係を導くことが出来ます。
本問では出てきませんでしたが、何かに平行な補助線を引くというのも、重要な手法です。
難関校の図形の問題は、角度の関係性などをわかりにくくして難易度を挙げているので、これらの手法を積極的に試してみてください。
小問2のように、いろいろな辺の長さが絡むような場合には、登場するすべての量を躊躇せずどんどん変数に置いて、方程式を立ててみましょう。変数がたくさんあっても、あとで代入などで消せばよいのです。
辺の長さを求める問題では、代数的なアプローチも有効です。いろいろ悩む前に、まずは書き下してみましょう。