素数問題で再びアハ体験 – 2018年京大 数学 第2問

再び爽やか(Photo MixによるPixabayからの画像)

2023年2月27日

2018年京大 数学 第2問 は、与えられた条件を満たす整数が素数であることを示せ、と言う問題です。問題文は以下の通りです。

n^3 -7 n +9 が素数となるような整数 n をすべて求めよ。

 京大はこの手の、ある式が素数になる条件を示せ的な問題が好きなようで、けっこう良く見かけます(2016年第2問など)。ある数が素数かどうかを判定するのは、一般には難しいのですが、そこは京大の入試問題。秘孔をうまく突けば、スカッと一気に解けます(あべしっ)。

2018年京大 数学 第2問 の解法

 正面切って素数になる条件を求めようとするのはやはり困難なので、ここは搦手に回って、素数でない条件を明らかにすることにします。

 この視点から改めて与式を見てみると、定数項が9すなわち3の倍数であることに気が付きます。したがって、 n が3の倍数なら、与式は3で割り切れることがわかりました。

 では、 n = 3m + 1(mは整数)の場合はどうでしょうか。

\begin{aligned}
 & (3m+1)^3 -7(3m+1) +9 \\
\equiv & 1-7  \equiv 0 \mod 3
\end{aligned}

なので、与式はやはり3で割り切れます。

 同様にn = 3m + 2(mは整数)の場合は

\begin{aligned}
 & (3m+2)^3 -7(3m+2) +9 \\
\equiv & 2^3-7 \times2  \equiv 2-2 \equiv 0  \mod 3
\end{aligned}

となり、与式はやはり3で割り切れます。

 あれ?常に3で割りきれてだめじゃん、と一瞬あせりますが、落ち着いて考えると3それ自体が素数なので、問題文の与式が素数ならば、それは3に等しい、ということになります。逆に与式が3に等しいということは、当然素数に等しいということなので、与式が素数になるための必要十分条件は結局、

n^3 -7 n +9 = 3 \text{ } \cdots (1)

であることがわかりました。

 あとは式(1)を満たす整数 n を求めればOKですが、右辺の3を左辺に移項して

n^3 -7 n +6 = 0 

です。この左辺を因数分解して

(n-1)(n-2)(n+3)= 0 

であり、ゆえに求める n は1,2,-3です。

解法のポイント

とにかく割れる数を探そう(JamesDeMersによるPixabayからの画像)

 この手の「素数であることを示せ」的問題の場合、素数でないこと、すなわち何かで割り切れる条件を探すのが、まず第一の鉄則です。

 次に、割り切れる数字を具体的に探します。入試問題なので、191で割り切れる、などということはなく、もっと小さい数で割り切れるようになっているはずです。本問の場合、式の形から3がポイントだというのは割とすぐにわかりますが、3から順次、素数をあたっていくようにしてみましょう。

京大2018年

Posted by mine_kikaku