自分で得点を指定できる問題 – 1995年京大 後期 文系 数学 第4問

小問2の解法
g(n) が最大になる n を求めるのが目的ですが、 g(n) がとりえる値の最大値は3×6=18なので、どうしたら g(n) が18に等しくなるかを考えます。
ここで小問1が生きてきます。 n が7の倍数でないとき、 f(n^7)=f(n) なら当然、 f(n^6)=1 です。 a \ne 0 のとき、 ab = a なら b = 1 というのは剰余類の世界でも成り立つのですが、もう少し詳しく書くと、以下のとおりです。
n^7 を7で割った余りと n を7で割った余りが等しいので、
n^7-n= 7 \text{の倍数} \\
ですが、 n は7の倍数ではないことと、7が素数であることから、
n^6-1= 7 \text{の倍数} \\
すなわち
f(n^6) =1
です。
よって、少し考えると、
f( \sum_{k=1}^7 k^6 ) = f( \sum_{k=1}^6 f( k^6 )) =f (\sum_{k=1}^6 1 )= 6
であることがわかります( 7^6 \equiv 0 \mod 7 に注意)。
しかし、これが思いつかなくても、高々7の剰余群なので、力づくで書き下してしまうのもありです。大した手間もなく、以下のように計算できます。
k | k^1 | k^2 | k^3 | k^4 | k^5 | k^6 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 |
2 | 2 | 4 | 1 | 2 | 4 | 1 |
3 | 3 | 2 | 6 | 4 | 5 | 1 |
4 | 4 | 2 | 1 | 4 | 2 | 1 |
5 | 5 | 4 | 6 | 2 | 3 | 1 |
6 | 6 | 1 | 6 | 1 | 6 | 1 |
合計 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 6 |
意外なことに、 n=6 以外は、 g(n) = 0 になりました。これはすなわち、間違えたら点数は1点もやらないよ、という出題者の強い意志の表れに他なりません。このことは実際に計算してみないとわからなかったので、その点では書き下しにも意味があったと言えるでしょう。

発展
もう一つ、興味深い点は、ある k (今回の場合は3と5)については、0を除く任意の剰余類の要素 a に対し、ある自然数 n ( 1 \leqq n \leqq 6 )が一意に存在して、
a \equiv k^n \mod 7
が成り立つことです。 a と n は1:1に対応します。これは7だけではなく、すべての素数 p の剰余類に対して、成立します。そのような要素を、 p を法とする原始根と呼びます。
原始根の存在はあまり自明ではなく、その証明はガウスの登場を待つ必要がありましたが、覚えておくと、問題を解く際のヒントに使えることがあると思います。ただし、証明なしに引用すると減点されることがあるので、気をつけましょう。
小問2において、 n \neq 6 のとき、 g(n) = 0 でしたが、原始根の存在とフェルマーの小定理を所与のものとしたとき、これが任意の素数 p の剰余類に対して成り立つことを証明できます。
すなわち、任意の素数 p に対して、 g(n) を小問2のように定義したとき、以下が成り立ちます。
g(n) = \left \{ \begin{array}{ll} 0 & 1 \leqq n < p-1 \\ 3(p-1) &n = p-1 \end{array} \right.
\xi を、 p を法とする原始根であるとします。すると原始根の定義より、任意の自然数 k \in \{ 1,2,\cdot \cdot \cdot ,p-1 \} に対して、ある自然数 i \in \{ 1,2,\cdot \cdot \cdot ,p-1 \} が一意に存在して、
k \equiv \xi^i \mod p
が成り立ち、しかも k と i は1:1に対応します。したがって、 n < p-1 のとき
\begin{aligned} & g(n) = 3f( \sum_{k=1}^p k^n ) \\ & = 3f( \sum_{k=1}^{p-1} k^n ) \\ & = 3f( \sum_{i=1}^{p-1} \xi^{in} ) \\ & =3f( \xi^n \frac{( \xi^n)^{p-1} - 1 } { \xi^n - 1 } ) \\ & = 3f( \xi^n \frac{ (\xi^{p-1})^n - 1 } { \xi^n - 1 } ) \\ & = 0 \end{aligned}
が成り立ちます。
n = p-1 のときは、フェルマーの小定理よりただちに、
\begin{aligned} & g(p-1) = 3f( \sum_{k=1}^p k^{p-1} ) \\ & = 3f( \sum_{k=1}^{p-1} k^{p-1} ) \\ & = 3 \sum_{k=1}^{p-1} f(k^{p-1} ) \\ & = 3 \sum_{k=1}^{p-1} 1 \\ & = 3(p-1) \end{aligned}
を得ます。
これらは大学の代数の時間で扱うような内容なので、入試にはまあ出ないと思いますが、興味がおありの受験生の皆さん、数学科があなたを待っています。
まとめ
本問のポイントは、
- 剰余類におけるべき乗の扱い
- 剰余類の法が小さいときは、地道に全部書き下してみる
といったところになります。剰余類は実社会でも非常に役立つので、問題をたくさんこなして、解き方の考え方をしっかり身に着けておきたいところです。