相似比を駆使する – 2010年ラサール高校 数学 第6問

辺の長さを変数において相似比から式を立てよう(Igor DrondinによるPixabayからの画像)

2024年12月26日

今回は趣向を変えて高校入試です。 2010年ラサール高校 数学 第6問 を取り上げます。問題文は以下の通りです。

図において、△ABCはAC=10、BC=4、∠ACB=90°の直角三角形で、△ABDはAD=BD、∠ADB=90°の直角二等辺三角形である。線分BDと線分ACの交点をE、直線ABと直線CDの交点をFとするとき、次の問いに答えよ。

(1) ADの長さを求めよ。
(2) 線分の長さの比 BE:ED を求めよ。
(3) 線分の長さの比 DC:CF を求めよ。
(4) △BCFの面積を求めよ。

 ぱっと見、それほど難しくなさそうです。小問を順番に解いていきます。

小問1の解法

 これは単純に、3平方の定理を使って計算するだけです。

 まず、 AB の長さを求めます。

\begin{aligned}
& \mathrm{AB} = \sqrt{ \mathrm{AC}^2 + \mathrm{BC}^2} \\
& \text{  } = \sqrt{ 10^2 + 4^2} \\ 
& \text{  } = 2 \sqrt{29}
\end{aligned}

 次に、三平方の定理を △ABD に適用します。この3角形が二等辺三角形であることに注意すると、

\begin{aligned}
& \mathrm{AD} =\frac{1}{ \sqrt{2}} \mathrm{AB} \\
& \text{  } = \sqrt{ 58} \\ 

\end{aligned}

となります。変な値なのがちょっと気になりますが、とりあえず先に進みます。

小問2の解法

まず、四角形 ABCD が、 AB を直径とする円に内接することに注意します。すると明らかに、△AED と △BEC は相似で相似比は \sqrt{58} :4 です。 BE:ED を求めたいので、

\begin{aligned}
& \mathrm{BE} = x \\

& \mathrm{AE} = y \\

\end{aligned}

と置きます(図2)。

図2

 すると

\begin{aligned}
& \mathrm{ED} =  \sqrt{58} -x \\

& \mathrm{EC} = 10- y \\

\end{aligned}

なので

\begin{aligned}
y:x = \sqrt{58} -x :10- y  = \sqrt{58} :4 \\

\end{aligned}

が成り立ちます。

 よって

 \left \{ \begin{aligned}
 &  \sqrt{58} x = 4y \\
  &4( \sqrt{58} -x) = \sqrt{58}(10-y) \\

\end{aligned}
\right .

なので、これを解いて

\begin{aligned}
 x  & = \frac{4 \sqrt{58}}{7} \\
 y  &= \frac{58}7 \\

\end{aligned}

を得ます。

 ゆえに

\begin{aligned} 
\mathrm{BE}:\mathrm{ED}  & = x: \sqrt{58}  -x  \\
  & = \frac{4 \sqrt{58}}{7} :  \frac{3 \sqrt{58}}{7} \\
 & = 4:3
 \end{aligned}

です。

小問3の解法

 相似比を駆使してDCとCFの具体的な値が計算できそうなので、その方向で考えてみます。

 まず DC ですが、小問2を解く過程で BE および ED の長さが具体的に得られているので、△EDC ∽ △EAB であることを利用します(図3)。

図3

 小問2で

\begin{aligned}
  \mathrm{BE}  & = \frac{4 \sqrt{58}}{7} \\
  \mathrm{AE}  &= \frac{58}7 \\

\end{aligned}

であることがわかっているので、 △EDC と △EAB の相似比は

  \begin{aligned} 
 & \mathrm{CE} : \mathrm{BE}  \\
 =  &  10 - \mathrm{AE} : \mathrm{BE} \\
 =  &10- \frac{58}7 :\frac{4 \sqrt{58}}{7} \\
=  & \frac{12}7 :\frac{4 \sqrt{58}}{7} \\
  = &3: \sqrt{58} \\
 \end{aligned}

です。したがって

\mathrm{DC} =  \frac{3}{\sqrt{58}} \mathrm{AB} =  \frac{3}{\sqrt{58}}  \times 2 \sqrt{29} = 3 \sqrt{2}

です。

 次に CF の長さですが、ここで △DCA ∽ △BCF であることに注意します。実際、 四角形 ABCD が円に内接するので、

∠ADC = ∠FBC

です。

 また

∠DCA = ∠DBA = 45°
∠BCF = ∠DAB = 45°

なので

∠DCA = ∠BCF = 45°

が成り立ちます(図4)。

図4

  △DCA と △BCF の相似比は DC と BC の長さの比で、その値は

3\sqrt{2} :4

です。したがって

\mathrm{CF} = \frac{4}{3 \sqrt{2}} \mathrm{CA} = \frac{20 \sqrt{2}}{3}

であり、

\mathrm{DC}: \mathrm{CF} = 3 \sqrt{2} : \frac{20 \sqrt{2}}{3} = 9:20

です。

小問4の解法

 本問で面積がわかっている三角形は △ABC なので、これをうまく利用できないかと考えるうちに、 AB と BF の長さの比が △ABC と △BCF の面積比だと気が付ければ勝ちです(図5)。

図5

 小問3で △DCA と △BCF の相似比は算出済みなので、 BF の長さはソッコーわかって

\mathrm{BF} =  \frac{4}{3 \sqrt{2}} \mathrm{DA} = \frac{4 \sqrt{29}}{3}

です。 \mathrm{AB} = 2 \sqrt{29} であったので、△BCFの面積は

20 \times  \frac{4 \sqrt{29}}{3} \div 2 \sqrt{29} =\frac{40}3

です。

解法のポイント

コツをつかめば何とかなります(Anastasia GeppによるPixabayからの画像)

 本問のように線分の長さや比を求める問題の場合、使用するツールは主に以下の通りです。

  • 相似、合同
  • 面積比
  • 三平方の定理

 また、小問2で見たように、図形が円に内接している場合は見逃さないようにしましょう。円周角などを使って相似関係を導くことが出来ます。

 本問では出てきませんでしたが、何かに平行な補助線を引くというのも、重要な手法です。

 難関校の図形の問題は、角度の関係性などをわかりにくくして難易度を挙げているので、これらの手法を積極的に試してみてください。

 小問2のように、いろいろな辺の長さが絡むような場合には、登場するすべての量を躊躇せずどんどん変数に置いて、方程式を立ててみましょう。変数がたくさんあっても、あとで代入などで消せばよいのです。

 辺の長さを求める問題では、代数的なアプローチも有効です。いろいろ悩む前に、まずは書き下してみましょう。

高校入試2010年

Posted by mine_kikaku