積分挟み撃ちで求める級数和の極限 – 2003年京大 後期 数学 第5問

2003年京大 後期 数学 第5問 は級数和の極限に関する問題です。問題文は以下の通りです。
以下の極限を求めよ:
\displaystyle\lim_{n\to\infty}\sum_{k=1}^{2n} (-1)^k(\displaystyle\frac{k}{2n})^{100}
級数和の極限問題は、和を解析的に求められるケース( \lim\limits_{n \to \infty} \sum\limits_{k=1}^n \frac{1}{k(k+1)} など)の他は、積分挟み撃ちの手法を用いるケースが多く見られます。
特に本問は、級数の最終項が常に1になっているところから、積分挟み撃ちを適用する問題の公算が大きいと言えます。まずはその方向で検討します。
2003年京大 後期 数学 第5問 の解法
級数和の隣接2項をセットにする
級数和の形状をよく見ると、級数の値が振動していることと、足しこむ項目数が常に偶数であるところから、隣接2項をセットで扱うことが示唆されています。
そこで、隣接2項の和を
\begin{aligned} &- \left( \frac{2m-1}{2n} \right)^{100} + \left( \frac{2m}{2n} \right)^{100} \\ = & \frac{1}{2n} \sum_{l=0}^{99} \left( \frac{2m-1}{2n} \right )^{99-l} \left( \frac{2m}{2n} \right )^l \\ \end{aligned}
と変形してみます( m =1,2,\cdots ,n )。確かに積分挟み撃ちが使えそうな感じがしてきました。
級数和の上からの評価
まず、上から評価してみます。すると、
\begin{aligned} & \frac{1}{2n} \sum_{l=0}^{99} \left( \frac{2m-1}{2n} \right )^{99-l} \left( \frac{2m}{2n} \right )^l \\ < & \frac{1}{2n} \sum_{l=0}^{99} \left( \frac{2m}{2n} \right )^{99} \\ = & \frac{1}{2n} \cdot 100 \left(\frac{m}{n} \right)^{99} \\ = & \frac{50}{n} \left (\frac{m}{n} \right)^{99} \\ \leqq &50 \int_{\frac{m}{n}}^{\frac{m+1}{n}} x^{99} dx \end{aligned}
と評価できます。したがって級数和は、
\begin{aligned} & \sum_{k=1}^{2n}(-1)^k(\dfrac{k}{2n})^{100} \\ = & \sum_{m=1}^n \left \{- \left( \frac{2m-1}{2n} \right)^{100} + \left( \frac{2m}{2n} \right)^{100} \right \} \\ = & \sum_{m=1}^{n-1} \left \{- \left( \frac{2m-1}{2n} \right)^{100} + \left( \frac{2m}{2n} \right)^{100} \right \} \\ &- \left( \frac{2n-1}{2n} \right)^{100} + 1 \\ <& 50 \sum_{m=1}^{n-1} \int_{\frac{m}{n}}^{\frac{m+1}{n}} x^{99} dx - \left( \frac{2n-1}{2n} \right)^{100} + 1 \\ = & 50\int_{\frac{1}{n}}^{1} x^{99} dx - \left( \frac{2n-1}{2n} \right)^{100} + 1 \\ < & 50\int_{0}^{1} x^{99} dx - \left( \frac{2n-1}{2n} \right)^{100} + 1 \\ =& \frac{1}{2} - \left( \frac{2n-1}{2n} \right)^{100} + 1 \\ \end{aligned}
と上から抑えられ、しかもそれは n \to \infty のとき、 \frac{1}{2} に収束します。
級数和の下からの評価
一方、下方からの評価は、 m \geqq 2 のとき
\begin{aligned} & \frac{1}{2n} \sum_{l=0}^{99} \left( \frac{2m-1}{2n} \right )^{99-l} \left( \frac{2m}{2n} \right )^l \\ >& \frac{1}{2n} \sum_{l=0}^{99} \left (\frac{2m-1}{2n} \right)^{99} \\ = & \frac{1}{2n} \cdot100 \left (\frac{2m-1}{2n} \right)^{99} \\ = & \frac{50}{n} \left (\frac{2m-1}{2n} \right)^{99} \\ \geqq & 50 \int_{\frac{2m-3}{2n}}^{\frac{2m-1}{2n}} x^{99} dx \end{aligned}
なので、級数和は
\begin{aligned} & \sum_{k=1}^{2n}(-1)^k(\dfrac{k}{2n})^{100} \\ = & \sum_{m=1}^n \left \{- \left( \frac{2m-1}{2n} \right)^{100} + \left( \frac{2m}{2n} \right)^{100} \right \} \\ = & \sum_{m=2}^{n} \left \{- \left( \frac{2m-1}{2n} \right)^{100} + \left( \frac{2m}{2n} \right)^{100} \right \} \\ &- \left( \frac{1}{2n} \right)^{100} + \left( \frac{1}{n} \right)^{100} \\ > & 50 \sum_{m=2}^{n} \int_{\frac{2m-3}{2n}}^{\frac{2m-1}{2n}} x^{99} dx - \left( \frac{1}{2n} \right)^{100} + \left( \frac{1}{n} \right)^{100} \\ = & 50\int_{\frac{1}{2n}}^{ \frac{2n-1}{2n}} x^{99} dx - \left( \frac{1}{2n} \right)^{100} + \left( \frac{1}{n} \right)^{100} \\ =& \frac{1}{2} \left ( \frac{2n-1}{2n} \right )^{100} -\frac{3}{2} \left( \frac{1}{2n} \right)^{100} + \left( \frac{1}{n} \right)^{100} \end{aligned}
と下から抑えられ、しかもそれは n \to \infty のとき、こちらも \frac{1}{2} に収束します。
ゆえに
\lim_{n \to \infty} \sum_{k=1}^{2n}(-1)^k(\frac{k}{2n})^{100} = \frac{1}{2} \\
です。
解法のポイント

まず、積分挟み撃ちを適用しようと思いつくことが重要です。しかし本問では、級数の最終項が常に1になっていて、 [0,1] 区間の刻みを細かくして極限を取っているような感じすることと、そもそも他のアプローチをおいそれと思いつけないところから、無理なく発想できることと思います。
ただ、級数の各項に、積分挟み撃ちの定番である積分幅 \frac{1}{n} が掛かっていないところが、懸念材料です。これについては本稿で示したように、隣接2項をセットで扱うことに気が付ければ、突破できます。これに気が付くためのヒントとして、
- 級数の値が振動している(隣接項の正負が常に入れ替わる)
- 級数和の項目数が常に偶数である
のほか、級数の一般項がべき乗なので、
a^m -b^m = (a-b) \sum_{k=0}^{m-1}a^kb^{m-1-k}
の因数分解が使えそうだ、といったあたりがちりばめられていますので、見落とさないようにしましょう。