中学入試を考える

む、難しすぎる・・・(Erik SteinによるPixabayからの画像)

2023年2月27日

2022年渋渋算数 第3問(2) の内容

 小問2が超絶難問です。図2の三角形と、1辺の長さがその長辺に等しい正三角形の面積の差を求めよ、と言う問題です。

図2

 求める面積は、以下の図2-1の網掛け部分です。

図2-1

 以下の図3を使って考えてみてください、と言うことですが、これがヒントとしては全然足りません。

図3

 図3-1のように、図2と図3を重ねてみるのかな、というのは外れです。

図3-1

 以下の段取りで攻略します。

補助線を引く

 図3の各頂点に図3-2のように記号を振り、A と D を直線で結びます。すると、∠ABC = 60° であることから △ABD は正三角形です。

図3-2

したがって AB = AD ですが、 AB = AE なので AD = AE 、すなわち △ADE は二等辺三角形です。しかも、

∠DAE = ∠BAC – ∠BAD = 90° – 60° = 30°

なので、 △ADE は小問1の三角形と相似であり、 AD の長さが決まれば面積を求めることが出来ます(図3-3)。

図3-3

図2の三角形と相似な三角形を探す

 図3-2において、図2の三角形と相似な三角形を探します。すると、 ∠ADC = 120° 、∠ADE = 75° であることから、 ∠EDC = 45° であることがわかります。したがって △EDC は図2の三角形と相似です。DC = 7cm とおけば、同じ三角形です(図3-4)。

図3-4

△ABD と △ADC の面積が等しいことに気づく

 これは簡単です。 BD = DC なのですから、当然2つの三角形の面積は等しくなります(図3-5)。

図3-5

 ここで重要なのは、 △ABD が正三角形で、しかも1辺の長さが DC と等しいことです。すなわち、 △EDC の底辺 DC と1辺の長さが等しい正三角形 ABD の面積は、△EDC と △ADE の和なので、求める面積は △ADE の面積となります(図3-6)。

図3-6

 ゆえに求める面積は

7 \times \frac{7}{2} \div 2 = \frac{49}4

です。

解き方のまとめ

 整理すると、以下の通りです。

  1. 図3に補助線を引く
  2. △ADE が小問1の三角形と相似であることに気づく
  3. 図2の三角形が △EDC と相似であることに気づく
  4. 1辺の長さが DC と等しい正三角形の面積は、 △ADC の面積に等しいことに気づく
  5. △ADC の面積は △EDC と △ADE の和である。よって AB=AD=DC=7cm とするとき、求める面積は △ADE の面積で、これは小問1の方法で求めることが出来る

 これに加えて、三角形の相似の概念を持っている必要があります。いくら難関校とはいえ、いささか度を越しているのでは、と思える難易度です。

家庭教師

Posted by mine_kikaku