イカサマサイコロのゾロ目確率 – 2008年東工大 数学 第3問

確率の問題なのに出目確率が等しくない?!(Willi HeidelbachによるPixabayからの画像)

2023年2月27日

 2008年東工大 数学 第3問 はそれぞれの目の出る確率が同じでない、イカサマなサイコロに対する確率問題です。問題分は以下のとおりです。

いびつなサイコロがあり、1から6までのそれぞれの目が出る確率が \displaystyle\frac{1}6 とは限らないとする。このサイコロを2回ふったとき同じ目が出る確率をPとし、1回目に奇数、2回目に偶数の目が出る確率をQとする。
(1) P \geqq \displaystyle\frac{1}6 であることを示せ。また、等号が成立するための必要十分条件を求めよ。
(2) \displaystyle\frac{1}4 \geqq Q \geqq \displaystyle\frac{1}2 - \displaystyle\frac{3}2 P であることを示せ。

 数学のどんな問題でも、サイコロの眼の出る確率は常に均等であることが前提になってきました。その前提を取っ払ったらどうなるのか、考えたこともなかったので、実際に受験していたら相当に焦ったに違いありません。平常心を保てず調子を崩してしまいそうです。

 そんな斬新かつ型破りな本問。早速見ていきましょう。

 なお、以下の内容は、東工大が公表したものではありません。

2008年東工大 数学 第3問 小問1の解法

記号の定義

 サイコロのそれぞれの目の出る確率を p_i,i=1,2, \cdots , 6 とおきます。当然、

\begin{aligned}
& 0 < p_i < 1 (i=1,2,\cdots, 6) \\
& \sum_{i=1}^6 p_i = 1

\end{aligned}

です。

 このとき、 P はゾロ目の出る確率なので、 p_i を使って以下のように表すことが出来ます。

P = \sum_{i= 1}^6 p_i^2

凸関数の性質を利用する

  \sum\limits_{i= 1}^6 p_i^2 \geqq \displaystyle\frac{1} 6 を証明するわけですが、この手の対称式風不等式を証明するには、本ブログでお馴染み凸関数が、非常に強力な武器になります。

 教科書の定義では、微分可能な関数 f(x) が下に凸であるとは、 導関数 f'(x) が単調増加であることですが、一般に下に凸な関数 f(x) に対し、以下の命題が成り立ちます。

命題1
 関数 f(x) が下に凸であるとする。このとき、任意の実数 a,b および 0 < t < 1 に対し、以下の不等式が成り立つ。

   tf(a) + (1-t)f(b) \geqq f(ta+(1-t)b)

 等号は a= b のときにのみ成り立つ。

 更に、命題1から以下の命題を導出できます。

命題2
  n \geqq 2 を自然数とする。下に凸な関数 f(x) において、任意の実数 x_i,i = 1,2, \cdots,n に対し、

    \displaystyle\frac{\sum\limits_{i=1}^n f(x_i)}{n} \geqq f \left ( \displaystyle\frac{\sum\limits_{i=1}^n x_i}{n} \right )

が成り立つ。
 等号は、 x_1 = x_2 = \cdots = x_n のときにのみ成り立つ。

  f(x) = x^2 は、 f''(x) =2 なので下に凸です。よって、命題2を適用することができて、

\sum_{i = 1}^6 p_i^2 \geqq 6 \left ( \frac{\sum\limits_{i=1}^6 p_i} 6 \right)^2 = \frac{1}6

と、実にあっさりと不等式を証明できます。

 等号は p_1 = p_2 = \cdots = p_6 = \displaystyle \frac{1}6 のときにのみ、成り立ちます。すなわちこれが、等号が成り立つための必要十分条件です。

 東工大の入試だし、命題1程度なら無証明で使っても大丈夫だと思いますが、教科書に載っているわけではないので、念のため証明を用意しておきます。また、命題2は自明とまでは言えないし、簡単に証明できるので、答案に証明を書いておいたほうが良いでしょう。

東工大2008年

Posted by mine_kikaku