なぜそうやっているのかを探求しよう

先日、息子が久しぶりに帰省してきました。酒酌み交わしながら夜遅くまでブチ上がりましたが、そこで息子が話していたのが、「高校の数学授業では式の変形だけを教わったが、なぜそうしているのかの説明がなかったのでずっとモヤっとしていた」ということで、例としてあげたのが tan の加法定理の導出でした。
sin ,cos の加法定理を適用して、
\begin{aligned} \tan ( \alpha+\beta) & = \frac{\sin( \alpha +\beta)}{ \cos ( \alpha +\beta)} \\ & = \frac{\sin \alpha \cos \beta + \cos \alpha \sin \beta}{\cos \alpha \cos \beta - \sin \alpha \sin \beta} \end{aligned}
と変形します。ここで分母と分子を cos α cos β で割って
\begin{aligned} \frac{\sin \alpha \cos \beta + \cos \alpha \sin \beta}{\cos \alpha \cos \beta - \sin \alpha \sin \beta} & = \frac{ \displaystyle \frac{\sin \alpha}{\cos \alpha} + \frac{\sin \beta}{\cos \beta} }{1 -\displaystyle \frac{\sin \alpha \sin \beta}{\cos \alpha \cos \beta} } \\ & = \frac{\tan \alpha + \tan \beta}{1 - \tan \alpha \tan \beta} \end{aligned}
と変形することで、tan の加法定理を導出できますが、息子が言うには、「 cos α cos β で割るというのが唐突に出てきて面食らった」とのことです。
実を言うと、cos α cos β で割ることに数学的に深い意味があるわけではなく、どちらかというとテクニカルな部類に属します。すなわち、
- 分数式を変形する際に、分母分子におなじものを掛けたり割ったりするのは常套テクニックである
- tan 加法定理の証明である以上、連分数の分母が cos だけ、分子が sin だけになるようにしたい
- 角度が α、β と2つあるので、 cos α ,cos β のそれぞれで割ったほうが良いのではないか
- 分母にcos α cos β がすでにあるので、cos α cos β で割ったらこれが1になってすっきりする
と言った理由から、とりあえずcos α cos β で割ってみて、どうなるか見てみようというわけです。
息子は中学校では当てはめる公式も少なかったが、高校に入ってからはいろいろな公式が出てきて、何をどう当てはめれば良いのかわからなくなった、と申しておりました。中学でもそうでしたが、高校では特に、公式をたくさん覚えてそれをどう適用すればよいかを覚えるより、数学的センスというかコツみたいなものを習得してそれに従ったほうが、早く正確に答えにたどり着けます。
今回の事例は本当に些細なものですが、一度話を聞けば次に問題を解くときのテクニックとして使えますし、こういったものを積み上げていけば、 tan の加法定理それ自体を丸暗記するよりもよっぽど力が付きます。どんな些細なことでも、疑問が生じればそれを放置せず、自分で考えるなり誰かに聞くなりして、必ず解決するようにしましょう。
日々発生する細かい「なぜ」を、学校や塾で解決するのは難しいかも知れません。そのような際には家庭教師にご相談されることを、お勧めいたします。