三角方程式の解の極限 – 1998年京大 後期 数学 第4問

数列の極限を求められるか?(ErikによるPixabayからの画像)

2025年1月17日

 1998年京大 後期 数学 第4問 は三角方程式の解で構成される数列の極限を求める問題です。問題文は以下のとおりです。

 xn の一般項などとても求められそうにないので、知恵を絞る必要がありそうです。それでは見ていきましょう。

1998年京大 後期 数学 第4問 小問1の解法

 まず Xn = xnnπ と置きます。すると 0 < Xn < π であり、かつ

sin(Xn + nπ + a) = (Xn + nπ) sin(Xn + nπ )

なので

sin(Xn + a) = (Xn + nπ) sinXn

が成り立ちます。

  fn(x) = (x + nπ) sinxn が大きくなると x = 0 の近傍で傾きがどんどん大きくなる、つまりグラフが「立ち上がってくる」ので、y = f(x) = sin(x + a) と y = fn(x) の交点はどんどん0に近づく、すなわち \lim\limits_{n \to \infty} X_n = 0 が成り立つのではないかと予想できます(図1)。

図1

  \lim\limits_{n \to \infty} X_n = 0 を証明するためには、0 < Xn なので Xn より大きくてしかも極限が0になる数列 Yn が見つかれば十分です。そこでそのような数列を探します。

 ここで f(x) と fn(x) の大小関係を調べます。 f(x) = fn(x) は0 < x < π の範囲で解を1つしか持たず、しかも

f(0) = sina > 0 = fn(0)
f(π) = sin(π + a) = -sina < 0 = fn(π)

なので、 0 ≦ x < Xn の範囲で f(x) > fn(x) 、 Xn< x ≦ π の範囲で f(x) < fn(x) が成り立ちます(もしそうでなければ、中間値の定理により Xnとは異なる f(x) = fn(x) の解が存在することになってしまう)。

 この性質を利用して Yn を探します。すなわち、 f(Yn) < fn(Yn) が成り立てば Xn < Yn なので、そのような Ynで0に収束するものを探します。

 というわけでいささか安直ですが、

Y_n = \frac{1}n

で試してみます。

 まず明らかに

f(Yn) ≦ 1

が成り立ちます。

 一方

\begin{aligned}
f_n(Y_n)  & = (\frac{1}n + n \pi)  \sin (\frac{1}n) \\
 & > n \pi  \sin (\frac{1}n) \\
\end{aligned}

ですが、平均値の定理によりある実数 0 < c < \displaystyle\frac{1}n が存在して

 n   \sin (\frac{1}n) = \frac{\sin (\frac{1}n) }{\frac{1}n} = \cos c > \cos (\frac{1}n)

が成り立ちます。したがって、 n ≧ 1 のとき

\frac{1}n \leqq 1 < \frac{\pi}3

なので

 n   \sin (\frac{1}n)  > \cos (\frac{1}n) > \frac{1}2

が成り立ちます。

 ゆえに n ≧ 1 のとき

f(Y_n) \leqq 1 < \frac{\pi}2 < f_n(Y_n)

であり、0 < Xn < Yn が成り立つので

\lim_{n \to \infty} X_n = 0

が成り立ちます。すなわち

\lim_{n \to \infty} (x_n − n\pi) = 0

です。

1998年京大 後期 数学 第4問 小問2の解法

 こいつは手強そうです。今度は0に収束するといった安直な答えでは無いはずなので、積分挟み撃ちなどを使って上からだけでなく下からも評価し、しかも上下の極限が一致するようにしなければなりません。

 なんか無理ゲーじゃね、とも思いますが、ここで小問1の結果を利用して

sin(Xn + a) = (Xn + nπ) sinXn

の極限をとってみたら何かわかるかもしれません。

n\sin X_n =  \frac{\sin (X_n +a) -X_n} {\pi}

なので

\lim_{n \to \infty}n\sin X_n =  \frac{\sin a} {\pi}

です。

 おおっ!

\lim_{x \to 0} \frac{ \sin x}{x} = 1

なので Xn と sinXn の収束スピードは同程度であり、 nXn は案外 nsinXn と同じ値に収束するかもしれません。

 実際、

\begin{aligned}

\lim_{n \to \infty}nX_n   & =  \lim_{n \to \infty}  (n \sin X_n  \cdot \frac{X_n}{\sin X_n} )\\
 & = \lim_{n \to \infty}  \frac{n \sin X_n}{ \frac{\sin X_n}{X_n}} \\
 & =  \frac{ \lim\limits_{n \to \infty} n \sin X_n}{ \lim\limits_{n \to \infty}  \frac{\sin X_n}{X_n}} \\
 &=  \frac{\sin a} {\pi}

\end{aligned}

が成り立ちます。ゆえに

\lim_{n \to \infty}n(x_n − n \pi) =  \frac{\sin a} {\pi}

です。

解法のポイント

上から押さえよう(HansによるPixabayからの画像)

 小問1はまず、 Xn が0に収束しそうだと当たりをつけることがポイントです。これが思いつければ、本稿で示したように0に収束する何かで上から押さえてみよう、という発想が自然に出てくると思います。

 一方

sin(Xn + a) = (Xn + nπ) sinXn

なので

\begin{aligned}
 |\sin X_n  |  & = \frac{  |\sin ( X_n + a) - X_n | }{n \pi} \\
  &< \frac{1 + \pi}{ n \pi} \to 0 ( n \to  \infty)

\end{aligned}

であり、したがって

\lim_{n \to \infty} \sin X_n = 0

が成り立ちます。ネット上ではここからいきなり \lim\limits_{n \to \infty} X_n = 0 を導き出しているケースもあります。直感的には明らかですが、逆関数の連続性は高校数学の範囲を超えるっぽいので、これに頼るのは入試では避けたほうが無難でしょう。

 小問2は sin(Xn + a) = (Xn + nπ) sinXn の極限をとってみようと思いつければ、あとは用意に進められます。式の極限を取るというのはオーソドックスな攻め方なので、まずは試して見るようにしましょう。

京大1998年

Posted by mine_kikaku