難易度がより平準化された、てらいのない出題傾向 – 2025年千葉県公立高校入試(数学)

起伏が少ない(Kang-Rui LENGによるPixabayからの画像)

2025年2月26日

 2025年の千葉県公立高校入試(数学)は傾向的には昨年と同様ですが、変に尖った難し目の問題が影を潜めて、難易度がより平準化しています。千葉県名物ポイズンピル問題(オーバーキル的難易度のため拘泥するとエラいことになる)もありません。

 難関校向けには「思考力を問う問題」が別途課されるので、一般入試で無理に難易度を上げる必要がなくなったということかもしれません。

 問題文は以下のリンク先をご覧ください。

千葉県公立高校入試の問題と解答(PDF)

 問題構成は以下のとおりです。

問題番号出題内容
第1問計算問題
第2問二次関数
第3問図形
第4問円錐と最小公倍数

 第4問が少しクセ強に見えますが実は大したことはないので、慌てないようにしましょう。

 それでは各問の内容を確認していきます。

オーソドックスな第1問

 第1問は計算問題です。特に難しいところはないので、時間配分に気をつけつつ全問正解を目指しましょう。

平行四辺形の絡みがイヤげな第2問

 第2問は二次関数に平行四辺形が絡んで、条件を満たす平行四辺形を求めましょう的な、二次関数系では苦手な人が最も多そうなタイプの問題です。しかもその条件というのが△OCD の面積で与えられているという、イヤげ度MAX問題です。

 前の小問で △OAB の面積を求めているので、まずはこれを生かすことを考えましょう。一番単純なのは △OAB と △OCD の面積の比較から何かを導き出すことです。

 一般論として相似でない2つの三角形の面積が与えられたとき、最初に底辺の長さの比に転換できないか考えてみましょう。高さが同じなら面積比は底辺の長さの比です。ところが本問の場合、平行四辺形の性質により △OAB と △OCD の高さは都合よく等しくなります。

 したがって△OAB と △OCD の面積比は OA と OC の長さの比になります (図1)。これにより C の座標がソッコー求まります。 すなわち A の座標の符号を反転して2倍すれば、それが C の座標です。

図1

 ABCD は平行四辺形なので、 C と D の位置関係は A と B の位置関係と同じです。 B から「8下がって8戻る」と A に到達するので、 D の座標は同様に C から「8下がって8戻る」と得られます(図2)。

図2

平行四辺形の頂点を求める問題で面積が絡んできたら、なにか別の情報に転換できないか常に考えるようにしましょう。

 なお、問題文には双曲線 y = \displaystyle\frac{b}x が出てきてちょっと焦りますが、じつは問題を解くにあたって何の関連もありません。軽めのブービートラップなので幻惑されないようにしましょう。

円と相似の王道、第3問

 第3問は円に三角形の相似が絡んだ、この分野の王道問題です。

 各小問が次の問題のヒントになっているので、流れから外れないようにしましょう。特に最後の小問3は、前の小問で △GAF ∽ △EBD を証明しているので相似比を使って面積を求めるのではないか、と予測できれば、実は △GAF の面積が容易に求められることや、 AF の長さが三平方の定理で簡単に計算できるので相似比もすぐに求められることにソッコー気が付けるでしょう(図3)。

図3

 そのほか、△OAC が正三角形なので ∠OAB = 60° であり、したがって △ABC は三角定規タイプの直角三角形なので BC の長さが直ちにわかることなどもきっちり押さえておきましょう。

長文がうっとうしいが実は大したことない第4問

 第4問は無駄に長い会話文の問題です。今やこのスタイルは「総本山」の大学入試共通テストでも無くなりつつあるので、いい加減やめてもらいたいものです。

 問題の主旨は、円錐を倒して転がしたとき、円錐が1周する間に底面が何回回転するかを求めるというもので、図形問題っぽい体裁をとっていますが実質は、円錐の母線と底面の半径の最小公倍数の問題です。

 本問では底面が1回転するたびに母線円周上にプロットしていきますが、本問の後半にあるように母線長と底面半径の整数比が n:m (1 < n,m) のとき、連続するプロットは隣り合いません(図4)。

図4

 したがって「 X0 の右隣は何か」などと聞かれると難易度がぐっと上がったでしょうし、わざわざこういうシチュエーションを考えた以上、最初はそういう設問が想定されていたはずです。

 最終的に難易度調整の結果、そこまで意地悪するのはやめようということになったのかもしれませんが、2つの円運動で同期が少しずつずれていくような問題には普段から備えておきましょう。これは理科の問題ですが、複数の惑星が直列したときに次に直列するのは何年後か、みたいな問題はあり得ます。

まとめ

 全般に難易度の振れ幅が小さくなったので、例えば受験研究社の標準問題集をやり込むだけで、十分に満点が狙えます。

 筆者が標準問題集を推すのは標準回答時間が設定されているからです。たとえば「標準の半分の時間で解き切る」みたいな勉強法を続けていれば、公立入試に関しては向かうところ敵なしでしょう。

どんどん勉強しよう!(Andrew TanによるPixabayからの画像)

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Posted by mine_kikaku