難易度UPを乗り切れ! – 2025年千葉県公立高校 思考力を問う問題(数学)

ハードルを超えろ!(andreas NによるPixabayからの画像)

2025年3月4日

 2025年千葉県公立高校入試の思考力を問う問題(数学)は、明らかに前年度から難易度がUPしています。思考力を問うことを謳っているだけに、ちょっとしたひらめきが必要です。

 問題文は以下のリンク先をご覧ください。

千葉県公立高校入試 問題と解答(PDF)

 英数国3科目で構成される試験問題において、数学は第2問です。問題構成は以下の通りです。

番号内容
小問1数の規則性問題
小問2二次関数と鏡像
小問3箱ひげ図
小問4相似と三平方の定理

 それでは、小問ごとに解法のコツを見ていきます。

等差級数でない規則性問題の小問1

 高校入試の規則性問題は大抵、等差級数(一定の値で増えたり減ったりする数の並び)です。ところが本問はそうではありません。しょっぱなからヤバさMAXです。

 ここで数学をしっかり勉強していれば、数学の神が「2025って案外何かの2乗なんじゃね」とささやいてくれます。

 実際、 2025 = 452 です。そこで設問の魔方陣もどきのどこに平方数があるのか、調べてみます(図1)。

図1

 おおっ! (2n-1)2nn 列目にいることがわかりました。これで答えがソッコーわかります。

鏡像で幻惑する小問2

 小問2は二次関数の問題です。ごちゃごちゃ言っててわかりにくいですが、要は点 B と Y 軸を挟んで対称の位置にある点 B’ を中心とし、半径が AB’ である円が X 軸を切り取る長さを求めよ、ということです(図2)。

図2

 B’ を中心とする半径 AP + BP の円を考えるというのは、 AP + PB = BQ を満たす Q が2つあるというところからこれは円だと発想することと、半径なので屈折した線でなく A からまっすぐ線を引きたい、と考えるうちに思いつけるでしょう。

 もちろん、図2を反転させて A の鏡像を考えるというのもアリです。むしろこちらのほうが Q1 および Q2 を設問通り描画できるのですんなり来るかもしれません。

 何をすればよいのかが分かれば、どうと言うことはありません。三平方の定理を使ってちゃっちゃっと計算してしまいましょう。

実はねらい目の小問3

 小問3は箱ひげ図の問題です。定義に忠実に計算していけば容易に解けます。これが一番簡単なので、しっかり得点しましょう。

一番ヤバい小問4

 本問は超絶難問と言うわけではありませんが、気をつけないと計算に時間を取られるので注意しましょう。小問1や小問2をうまくクリアできていれば、深追いせずに見切ってしまうのもアリです。

 プリミティブなやり方としては、以下の図3を描いて各辺の比(特に右側の色のついた三角形)を求め、これと相似比を使って求めるのが単純で分かりやすいです(もともと知っていればなお速い)。

図3

 しかしこのやり方だとそこそこ計算量がある上に、図でわざわざ記号が振られている交点 I の出番がありません(図4)。もしかしたらこの I を使うともっと楽に解けるのかもしれません。

図4

 この観点で問題文の図を改めて見ると、 △IAB は二等辺三角形なので AI = BI 、 ∠IAB = ∠IBA = 15° です。 ∠ABD = 75° なので ∠IBD = 60° であり、 △BDI は三角定規タイプの直角三角形です。

 したがって、 BD = 4 なので BI = 8 であり、ゆえに AI = 8 です(図5)。

図5

 よって AF の長さを求めるには、 IF の長さが分かればよいということがわかります。

 こいつをどうやって求めるかが思案のしどころですが、ここで △BDF が直角二等辺三角形であったことを思い出しましょう。すると FD の長さがたちどころにわかってそれは 4 です。一方、 ID の長さもすぐにわかって \mathrm{ID} = 4\sqrt{3} です(図6)。

図6

 したがって

 \mathrm{IF = ID - FD} = 4 \sqrt{3} - 4

であり、

 \mathrm{AF = AI + IF} = 4 \sqrt{3} + 4

です。相似比も三平方の定理も使わずに、さくっと求められました。

 次に EF の長さですが、 EF を含む △EFI と相似の関係にある三角形はなさそうなので、 FB の長さがすぐに求まることからこれに対する比例計算で算出できないか、考えてみます。

 一番単純な発想は EF:FB = GH:HB ですが、GH や HB や、あるいは GB の長さは図3のところまで戻って考え直さなければなりません。

 そこで BI と FH の交点を J とおき、 EF:FB = IJ:JB で攻めるのはどうでしょうか。

 とここまで発想できれば、 △IFH が二等辺三角形なので IF = IJ であることに気が付けるはずです(図7)。

図7

 IF の長さはさっき求めたので、

\begin{aligned}
 \mathrm{EF:FB }= & \mathrm{ IJ:JB  } \\
 = & \mathrm{ IJ:BI - IJ  } \\
  = & \mathrm{ IF:BI - IF  } \\
 = & 4 \sqrt{3} - 4 : 8 -(4 \sqrt{3}-4) \\
 = & \sqrt{3} -1 :3 -\sqrt{3} \\
 = &1 :\sqrt{3}
\end{aligned}

と長さの比が求められました。 \mathrm{FB} = 4 \sqrt{2} なのであとは比例計算するだけです。

まとめ

 全般に難易度が高めですがべたべた計算させる問題は無くて、ワンアイディアでさくっと解ける問題が多い印象です。

 ひらめきを得るための感覚を掴むには、受験研究社の標準問題集よりやや難し目の問題を大量に解くようにすると良いでしょう。その際、いろいろな問題集に手を付けるより、2,3冊の問題集を何度もやり込んだほうが、解法が身につきます。

 受験勉強は量が物を言います。1日あたりの勉強量はそんなに無くて良いので、早いうちから毎日勉強する習慣をつけましょう。

 なお、箱ひげ統計問題は狙いめです。必ず得点するようにしましょう。

量は質に転化する(Jason GohによるPixabayからの画像)

家庭教師2025年

Posted by mine_kikaku