1が連続して99個以上並ぶ数を探せ – 2013年東大 数学 第5問

1が連続して現れる自然数を探します(Gerd AltmannによるPixabayからの画像)

2023年3月14日

④命題Pの証明 

 ここまでくれば、あと少しです。自然数 y を、 \overbrace{111111 \cdots 1}^{99 \text{個} } を3で割った商とし、自然数 n \geqq 99 を、

10^n > \frac{(3y^2 - 1) + \sqrt{ (3y^2-1)^2 + 4 (y^3-y) } } {2}

を満たすように、十分大きく取ります。自然数 A を、

A = ( 10^n + y -1 )(10^n + y)( 10^n + y +1)

と定義するとき、小問1より、以下の不等式が成り立ちます。

10^{3n} +  10^{2n} \cdot 3y < A   < 10^{3n} + 10^{2n} ( 3y +1)

したがって命題 2' より、ある自然数 b < 10^{2n} が存在して、

A = 10^{3n} +  10^{2n} \cdot 3y + b

が成り立ちます。右辺を10進表記すると、 y の定義から直ちに、

A = 1 \overbrace{000 \cdot \cdot \cdot 0}^{(n-99) \text{個} } \overbrace{111 \cdot \cdot \cdot 1}^{99 \text{個} }b_1b_2 b_3 \cdot \cdot \cdot b_{2n}

を得ます。したがって、命題Pは証明されました。

解法のポイント

2013年東大 前期 数学 第5問 解法のポイント
答えに至るための、コツです(フリー素材ドットコムからの画像)

 この問題を解くには、以下の3点がポイントです。

  1. 十進表記の条件を、不等式で表現する
  2. 不等式の x が、10のべき乗で有ることに気が付く
  3. 不等式の 3y が、 \overbrace{ 111 \cdot \cdot \cdot 1}^{99 \text{個} } であることに気が付く

 項番1が、一番大変です。しかし、10進表記上の条件(本問では、1が99個以上連続して現れる)が動いてはいけないというところから、逆にその条件の最小桁より小さい値の幅は、動いてもよい、ということに、今回の解法のように気が付けば、何とかなります。

 ポイントは、10進表記に対して不等式の評価を求められたら、10進表記条件の最小桁より小さい値で振らしてみる、と言うことになります。

 次に項番2ですが、 \overbrace{111 \cdot \cdot \cdot 1 }^{99 \text{個} } に10のべき乗がかかっているところから、比較的気が付きやすいと思います。気をつけなければならないのは、10進表記上の特徴部分(本問なら \overbrace{111 \cdot \cdot \cdot 1 }^{99 \text{個} } )には、10のべき乗以外のものは掛けてはならない、と言う点です。

 項番3も結構難易度高いですが、本稿のような段取りを踏めば、気が付けると思います。

何故、3なのか

3の謎(Adrian MaurによるPixabayからの画像)

 小問1の不等式に現れる、 3x^2y の項。なぜ係数が3なのでしょうか。

 根本的な理由は、命題Pにおける、3つの連続した自然数の積、と言う条件にあります。不等式の証明において、 x^2y の項を消したいために、不等式の右辺、左辺に 3x^2y の項があります。3と言う数字が固有に持つ、何か整数論的な性質によるものでは、なさそうです。

 仮に、係数が3でないと何が起きるかと言うと、不等式を満たす x の値に上限が発生します。しかも、係数を a と置いた時、 x = ay は不等式が成り立つ範囲から外れます。

 命題Pの証明において、 x を、少なくとも ay の桁数より大きい10のべき乗とすることができることを利用しているので、本問のように小問1の不等式を利用したやり方では、命題Pが証明できなくなってしまいます。

 証明の中でも見たように、命題Pが成り立つためには、 111 \cdot \cdot \cdot 1 が3で割り切れることが、死活的に重要です。逆に言うと、3で割れればどんな数字でもよいわけで、例えば、「123456789」を20回繰り返す、という条件でも、命題Pは成り立ちます。

 ただし、問題の鬼畜度はマシマシになってしまいますが(笑)

東大2013年

Posted by mine_kikaku