存在領域の難問 – 1988年東大 数学 第3問

方程式が3つの実数解を持つための条件
ここで a の関数 g_{s,t}(a) を
g_{s,t}(a) =\frac{3}{4}a^3 -3sa^2+3s^2a +s-s^3 +t
と定義します。
このとき、 a = 0 は g_{s,t}(a) = 0 の解ではないので、 g_{s,t}(0) \ne 0 、すなわち
t \ne s^3 -s
です。
よって、方程式 g_{s,t}(a)=0 が s-1 \leqq a \leqq s+1 の範囲に0以外の3つの異なる実数解を持つための必要十分条件は、
t \ne s^3 -s
かつ
s-1 < a < s+1 の範囲内に極大値、極小値を取る
かつ
g_{s,t}(s-1) \leqq 0
かつ
g_{s,t}(s+1) \geqq 0
かつ
極大値>0
かつ
極小値<0
です(図2)。

点Pの座標が満たすべき条件
g_{s,t}(a) を a で微分すると、
\begin{aligned} \frac{d}{da}g_{s,t}(a) &=\frac{9}{4}a^2 -6s+3s^2 \\ & =\frac{3}{4}(3a-2s)(a-2s) \end{aligned}
なので、関数 g_{s,t}(a) は s \ne 0 のとき a = \frac{2}{3}s および a = 2s のときに極値を取ります。
s = 0 のとき、 g_{0,t}(a) は単調増加関数になり、 g_{0,t}(a) = 0 は高々1個しか実数解を持ちません。よって、 s = 0 は除外します。
g_{s,t}(a) は s-1 < a < s+1 の範囲内に極大値、極小値を取るので、これを具体的な不等式に表現すると、
s-1 < \frac{2}{3}s,2s < s+1
です。よって、 s の範囲は、
-1 < s < 1
ですが、 s=0 を除外するので
-1 < s < 0, \text{または} 0< s<1
となります。
極値の値は g_{s,t}(\frac{2}{3}s),g_{s,t}(2s) ですが、ここで気をつけなければならないのは、 s の正負によって、それらのどちらが極大値になり、どちらが極小値になるかが入れ替わることです。
s > 0 のとき、 \frac{2}{3}s < 2s なので、 g_{s,t}(\frac{2}{3}s) が極大値、 g_{s,t}(2s) が極小値です。
s < 0 のとき、 2s < \frac{2}{3}s なので、 g_{s,t}(2s) が極大値、 g_{s,t}(\frac{2}{3}s) が極小値です。
以上をまとめると、方程式 g_{s,t}(a)=0 が s-1 \leqq a \leqq s+1 の範囲に0以外の3つの異なる実数解を持つための必要十分条件は、 (s,t) が以下の連立不等式を満たすことです。
\left \{ \begin{aligned} -1 < s < 0, & \text{または} 0 < s < 1 & \cdots(1) \\ t & \ne s^3-s &\cdots(2)\\ g_{s,t}(s-1) & \leqq 0 &\cdots(3)\\ g_{s,t}(s+1) & \geqq 0 & \cdots(4)\\ g_{s,t}(\frac{2}{3}s) &> 0(s>0) &\cdots(5)\\ g_{s,t}(\frac{2}{3}s) &< 0(s<0) &\cdots(5) \\ g_{s,t}(2s) &< 0(s>0)& \cdots(6) \\ g_{s,t}(2s) &> 0(s<0) &\cdots(6) \\ \end{aligned} \right .