伝説の超難問の解法まとめ – 1998年東大 数学 後期 第3問

頂上は1つでもアプローチはいろいろ(SimonによるPixabayからの画像)

2024年3月11日

小問2の解法

 以下、図3のようにオセロの石が1列に並んでいる状態をオセロ列と呼ぶことにします。また、すべての石が白のオセロ列を白オセロ列と呼びます。

 小問2を解くにあたって、まず、以下の命題を準備しておきます。

命題1

n個の白オセロが1列に並ぶとき、n+3個の白オセロ列を生成することができる

 長さが n n の白オセロ列があるとき、以下の図4の手順によって、長さ n+3 n+3 の白オセロ列を生成することが出来ます。

1998年東大 数学 後期 第3問 fig4 白オセロ列に3つずつ白オセロを追加できる
図4

 ところが、初期状態は白石1個なので、命題1より、 n=3m+1(m=0,1,2,) n= 3m+1(m=0,1,2,\cdots ) のとき、長さ n n の白オセロ列を生成できることがわかります。

 また、以下のように長さ n=3 n= 3 の白オセロ列を生成できます。

\begin{aligned} & \text{○} \\ & \Downarrow \\ &\text{●} -\text{○} \\ & \Downarrow \\ \text{○} - & \text{○} - \text{○} \\ \end{aligned}

 よって命題1より、 n=3m(m=1,2,) n= 3m(m=1,2,\cdots ) のとき、長さ n n の白オセロ列を生成できることがわかります。

 すなわち、自然数 n \bm n を3で割ったあまりが0または1であるとき、長さ n n の白オセロ列が生成できます。

 のこりは、 n=3m+2(m=1,2,) n = 3m+2 (m=1,2,\cdots ) の場合です。 n=2 n =2 のとき、白オセロ列は出来ないことから、 n n を3で割ったあまりが2の時は白オセロ列は出来ないと予想できますが、これの証明が超絶難問です。

 以下、本稿では、この超難問の様々な解法を紹介していきます。その上で本稿は、着想の違いによって様々なアプローチがあるものの、殆どの解法が本質的には大きく分けて2種類の解法に収斂できることを示します。

本稿で取り上げる解法

 以下の解法を取り上げます。

  1. キング オブ 難問 – 1998年東大 数学 後期 第3問(2021)
  2. 史上最大の難問 東大後期1998-問3(2011)
  3. 【史上最悪の伝説】1998年東大後期グラフ理論を丁寧に解説【理系大問3】(2020)
  4. 【伝説の東大入試】なんと中学レベルの数学で解けるぞ!【徹底解説】(2021)
  5. 1998年 東京大学 大学入試史上No.1の超難問~20年目の真実(2022)
  6. 1998年東大数学後期第三問を中学生でも分かるように解説(2021)
  7. 1998年東京大学後期理系、第3問大学入試史上No.1の超難問 (リンク先) 。解けますか?(2020)
  8. 1998年東大後期理系数学第3問には超簡単な解法があるのです!(2022)
  9. 1998年の東大後期数学のグラフ問題の解答例(2023)
  10. 1998年東大入試後期日程、数学問3(2)の件(2010)

 これらのうち、1番目は筆者が考えた解法です。以下、各解法を順次紹介していきますが、それに先立って、証明に使う記号や命題の準備をします。

東大1998年

Posted by mine_kikaku