解法4:【伝説の東大入試】なんと中学レベルの数学で解けるぞ!【徹底解説】(2021)
本解法では拡張オセロ列 EG を使用します。拡張オセロ列の初期要素を
○-〇-○
とします。
本解法の不変量関数導出方法は、ちょっと意表をついています。オセロ列において、左側に黒オセロが自分も含めて奇数個ある石の数を3で割った余りを、不変量関数と定義します。詳細は元記事をご確認ください。
これを本稿の流儀に従って記述すると、 g \in \mathfrak{G} が図6の構造を持つとき、
f(g) =mod_3 ( \sum_{k \text{が奇数} } (w_k +1) )
と表記できます。
このとき、 元記事は以下の段取りで証明を行っています。
このとき、 元記事は以下の段取りで証明を行っています。
- g \in EG かつ g の長さが 3m+2+2 =3m+4(m=0,1,2,\cdots) のとき、 f(g) =2 である
- wg \in \mathfrak{G} を長さ 3m+2 の白オセロ列とする。 wg の両端にオセロ石 o_L,o_R を付加するとき、 o_L,o_R をどのように選んでも、 f(o_L-wg-o_R) は0か1のいずれかであり、したがって o_L-wg-o_R \notin EG である
- ゆえに命題2により、 wg \notin G である。すなわち長さ3m+2の白オセロ列は生成できない
ずいぶんすっきりとした証明です。なお、毎度のことながら、表記方法はアレンジされています。また、項番①および②の証明は元記事をご参照ください。
本解法の不変量関数は奇数番の白オセロ群のみ考慮しているのが、意表をついています。偶数番を考慮しなくて良いのか気になるところですが、 g \in EG のとき
mod_3 (\sum_{k \text{が偶数} } w_k - \sum_{k \text{が奇数} } w_k )
が常に一定の値であること(解法4と解法1は EG の初期オセロが異なりますが、解法4のEGの場合でも同様に証明できます)と、nを黒オセロの数とするとき、
\begin{aligned} \sum_{k \text{が奇数} } (w_k +1) & = \sum_{k \text{が奇数} } w_k + \frac{n}2 \\ \sum_{k \text{が偶数} } (w_k +1) & = \sum_{k \text{が偶数} } w_k + \frac{n}2 + 1 \end{aligned}
である(初期オセロ列の黒オセロ数が0なので、EGのすべての要素の黒オセロ数 n は常に偶数であることに注意)ことから、
\begin{aligned} & \sum_{k \text{が偶数} } w_k - \sum_{k \text{が奇数} } w_k \\ = & \sum_{k \text{が偶数} } w_k + \frac{n}2 + 1-1- \sum_{k \text{が奇数} } w_k - \frac{n}2 \\ = & \sum_{k \text{が偶数} }( w_k + 1)-1 - \sum_{k \text{が奇数} } (w_k +1) \end{aligned}
が成り立つので、奇数番だけ考慮しても問題ないことがわかります。