変数変換で根号退治 – 1995年東大 数学 第1問

根号の処理に知恵が要ります(Gerd AltmannによるPixabayからの画像)

2023年2月27日

別解その1 – 微分による最大値評価

 本問は一種の最大値問題なので、微分を使って最大値を求めるやりかたもあります。

 式(1)の両辺を \sqrt{2x +y } で割ると、

\frac{\sqrt{x} + \sqrt y}{\sqrt{2x+y}} \leqq k

を得ますが、 x,y >0 のときの左辺の最大値が、求める k の値です。

 ところが、

\frac{\sqrt{x} + \sqrt y}{\sqrt{2x+y}} = \frac{\sqrt{\frac{x}y} + 1}{\sqrt{2 \frac{x}y+1}} 

なので、

t = \frac{x}y

と置き、

f(t) = \frac{\sqrt t + 1}{\sqrt{2t+1}}

と定義するとき、 f(t) t > 0 における最大値が存在すれば、それは

 \frac{\sqrt{x} + \sqrt y}{\sqrt{2x+y}} 

の x,y > 0 における最大値に等しくなります。

 実際、 f(t) t = t_0 において最大値 k_0 を取ると仮定します。このとき、任意の x,y > 0 に対し、

 \frac{\sqrt{x} + \sqrt y}{\sqrt{2x+y}}  = f( \frac{x}y) \leqq k_0

であり、かつ、 x_0 = t_0,y_0 =1 のとき、

 \frac{\sqrt{x_0} + \sqrt y_0}{\sqrt{2x_0+y_0}}  =  \frac{\sqrt{t_0} + \sqrt 1}{\sqrt{2t_0+1}} = f( t_0 ) = k_0

です。

 あとは、 f(t) を微分して、最大値を求めます。

\begin{aligned}

f'(t)  & = \frac{ \frac{1}{2\sqrt t } \cdot \sqrt{2t+1} - (\sqrt{t} +1) \cdot \frac{2}{2\sqrt{2t+1} }}{\sqrt{2t+1}^2} \\
 & = \frac{ 1 - 2 \sqrt t }{2(2t+1) \sqrt{t(2t+1)}} \\

\end{aligned}

であり、 0 < t < \frac{1}4 のとき f'(t) > 0 \frac{1}4 < t のとき f'(t) < 0 f'(\frac{1}4) =0 なので、 f(t) t= \frac{1}4 のとき最大値

f(\frac{1}4) = \frac{ \frac{1}2 +1}{ \sqrt {\frac{1}2 + 1} }= \frac{ \sqrt 6 } 2

をとります。ゆえに、 k の最小値は

 \frac{ \sqrt 6 } 2

です。

東大1995年

Posted by mine_kikaku