曲線の媒介変数はいつも一つ! – 1992年東大 数学 第4問

発展
柱面Bの断面形状を調べよう
柱面Bの断面の式は
x^2− \sqrt{3}xz +z^2= \frac{1}4
ですが、二次式で二次の項の符号が同じ場合は、たいてい楕円です(ちなみに、符号が異なる場合は双曲線)。学校で習う楕円の一般式
\frac{x^2}{a^2} + \frac{z^2}{b^2} = 1
と異なり、 xz の項が在るのは、一般的な楕円を原点中心に回転させているからです。
では、本当にそうなのかを確認してみましょう。
XZ 座標系を角度 \phi 回転させて xz 座標系になったとします。すなわち、
\begin{bmatrix} x \\ z \end{bmatrix} = \begin{bmatrix} \cos \phi & - \sin \phi \\ \sin \phi & \cos \phi \end{bmatrix} \begin{bmatrix} X \\ Z \end{bmatrix}
であるとします。
これを断面の式に代入して
\begin{aligned} & (X \cos \phi - Y \sin \phi)^2 \\ - & \sqrt{3} (X \cos \phi - Y \sin \phi)(X \sin \phi + Y \cos \phi) \\ + & (X \sin \phi + Y \cos \phi)^2 \\ = & \frac{1}4 \end{aligned}
です。
展開して
\begin{aligned} & X^2 + Y^2 \\ + & \sqrt 3 \left \{ \begin{aligned} & (X^2 -Y^2) \sin \phi \cos \phi \\ &+ XY(\cos^2 \phi - \sin^2 \phi) \end{aligned} \right\} \\ = & \frac{1}4 \end{aligned}
更に整理して
\begin{aligned} & X^2 + Y^2 \\ + & \sqrt 3 \left \{ \frac{(X^2 -Y^2)}2 \sin 2\phi + XY\cos2 \phi \right \} \\ = & \frac{1}4 \end{aligned}
ここで \phi = \frac{\pi}4 とおくと、
\sin 2 \phi = 1, \cos 2 \phi = 0
なので、
\begin{aligned} & X^2 + Y^2 + \frac{\sqrt 3}2 (X^2 -Y^2) = \frac{1}4 \end{aligned}
整理して
\begin{aligned} & ( \sqrt 3 +1)^2X^2 + ( \sqrt 3 -1)^2Y^2 = 1 \end{aligned}
です。
つまり、この楕円を原点を中心に \frac{ \pi}4 回転させたものが、柱面Bの断面です。
柱面Bを、 y 軸を中心に回転させてみよう
次に、柱面Bを y 軸を中心に回転させてみて、展開図がどうなるか調べてみましょう。
楕円
\begin{aligned} & ( \sqrt 3 +1)^2X^2 + ( \sqrt 3 -1)^2Y^2 = 1 \end{aligned}
を、原点を中心に \alpha 回転させた時の式を求めます。 楕円は180度回転させると元の図形に一致するので、 0 \leqq \alpha < \pi の範囲で考えます。
\begin{bmatrix} x \\ z \end{bmatrix} = \begin{bmatrix} \cos \alpha & - \sin \alpha \\ \sin \alpha & \cos \alpha \end{bmatrix} \begin{bmatrix} X \\ Z \end{bmatrix}
なので、
\begin{bmatrix} X \\ Z \end{bmatrix} = \begin{bmatrix} \cos \alpha & \sin \alpha \\ -\sin \alpha & \cos \alpha \end{bmatrix} \begin{bmatrix} x \\ z \end{bmatrix}
です。
よって
\begin{aligned} & ( \sqrt 3 +1)^2(x \cos \alpha + z \sin \alpha)^2 \\ + & ( \sqrt 3 -1)^2 (-x \sin \alpha + z \cos \alpha)^2 = 1 \end{aligned}
です。
整理すると、
\begin{aligned} & x^2(1 + \frac{ \sqrt 3}2 \cos 2 \alpha) \\ + & z^2(1 - \frac{ \sqrt 3}2 \cos 2 \alpha) \\ + & \sqrt 3 xz \sin 2 \alpha \\ = & \frac{1}4 \end{aligned}
となります。
これを断面とする、 y 軸に平行な柱面で、柱面Aを切り取った後の図形の展開図を求めます。
z = \sin \theta を代入して
\begin{aligned} & x^2(1 + \frac{ \sqrt 3}2 \cos 2 \alpha) \\ + & \sin^2 \theta(1 - \frac{ \sqrt 3}2 \cos 2 \alpha) \\ + & \sqrt 3 x \sin \theta \sin 2 \alpha \\ = & \frac{1}4 \end{aligned}
これを x について解いて
x = \frac{ \sqrt3 \sin \theta \sin 2 \alpha \pm \sqrt{ \cos^2 \theta + \frac{ \sqrt 3}2\cos 2 \alpha }}{2 + \sqrt 3 \cos 2\alpha}
を得ます。
\cos 2 \alpha = 0 でないときはルートを開けないので、単純なサインカーブにはなりません。展開図を書くのは難しそうですが、 \alpha の値によって、図形がどのような傾向を持つのかを、ざっくり見てみます。
① 0 \leqq \alpha < \frac{ \pi}4 , \frac{ 3\pi}4 < \alpha < \pi のとき
柱面の②本の交線は交わりません。柱面Aは柱面Bによって2つに分断されます。
② \frac{ \pi}4 < \alpha < \frac{ 3 \pi}4 のとき
\cos 2 \alpha < 0 となるので、 \cos^2 \theta \geqq -\frac{ \sqrt 3}2\cos 2 \alpha が成り立つ \theta の範囲でしか、交線は存在しません。
すなわち、 0 < \beta < \pi を、 \cos \beta = \sqrt{- \frac { \sqrt 3 }2 \cos 2 \alpha } を満たす実数とするとき、
\begin{aligned} 0 \leqq & \theta \leqq \beta \text{ または},\\ \pi - \beta \leqq & \theta \leqq \pi + \beta \text{ または}, \\ 2\pi -\beta \leqq &\theta < 2\pi \end{aligned}
の範囲でしか交線は存在しません。これは柱面Bによって、柱面Aに2つの風穴が空いたことを意味しています。
③ \alpha = \frac{ \pi}4 のとき
本問の出題内容となります。先に示したとおりの展開図になります。
④ \alpha = \frac{ 3\pi}4 のとき
交線の x 座標は
x = \sin ( \theta \pm \frac{5 \pi}6)
となります。ケース③同様、サインカーブを境界に持つ展開図になります。
解法のポイント

展開図を書くには、2つの柱面の交線がどうなっているのかを調べる必要が有ります。交線は曲線なので、1つの媒介変数で表現できることに気がつければ、本稿で示したようなやりかたで、交線の式を具体的に求めることができます。曲線とはつまるところ、数直線を連続関数によって3次元空間に射影したものだ、という感覚を持っておくようにしましょう。
ちなみに、3次元空間の曲面は2つの媒介変数を持ちます。平面の連続関数による3次元空間への射影と解釈することができます。