整式が素数になる条件 – 2024年東大 数学 第6問

条件Aの検証
まず条件Aを検証します。
条件1と条件2が同時に成り立つことがない、と言えればこのケースを考える必要がなくなるのですが、残念ながらそれは甘くて、適当な素数 p,q が存在して
\left \{ \begin{aligned} e(1) & = 1+ a+ b = p \\ e(-1) &= 1 -a+ b = -q \end{aligned} \right.
であったとすると、
\left \{ \begin{aligned} a &= \frac{p+q} 2\\ b &= \frac{p-q} 2 -1 \end{aligned} \right . \cdots(1)
です。 a,b は整数なので p,q の偶奇が一致する必要があります。
逆に任意の素数 p,q の偶奇が一致するとき、整数 a,b を(1) で定義すると e(1)=p,e(-1)=-q が成り立ちます。たとえば p=5, q=7 のとき、 e(x) = x^2+6x-2 において e(1)=5 、 e(-1) = -7 であり、 g(x)=xe(x) は条件1と条件2の双方を満たします。
すなわち、条件1 & 条件2 が成り立つための必要十分条件は、整数 a,b が偶奇が一致する2つの素数 p,q によって (1) のように表現できることです。
次に条件1 & 条件2 が成り立つとき、条件3が成り立つかどうかを確認します。
上で確認したように、条件1 & 条件2が成り立つとき、偶奇が一致する素数 p,q が存在して g(x) = x^3 +\displaystyle\frac{p+q}2 x^2 +\displaystyle \left ( \frac{p-q}2 -1 \right ) x ですが、 e(x) = x^2 +\displaystyle\frac{p+q}2 x +\displaystyle \frac{p-q}2 -1 は x > 0 の範囲で単調増加であり、かつ p は素数なので e(1) = p > 1 です。すなわち e(n) =1 を満たす正の整数 n は存在せず、したがってそのような素数も存在しません。
これは条件1 & 条件2を満たすすべての g(x) = xe(x) に対して成り立つので、条件1 & 条件2 が成り立つとき条件3は成り立ちません。したがって条件Aは常に成り立ちません。
条件Bの検証
引き続いて、条件1 & 条件2 が成り立つとき条件4が成り立つかどうかを確認します。
e(x) = -1 の2つの解を α、β ( α ≦ β ) とおくとき、
\alpha \leqq -\frac{ p+q}2 \leqq \beta
ですが、 p も q も素数なので2以上です。よって
-\frac{p+q}2 < -1
です。
一方、 e(-1) = –q < -1 、 e(1) = p > 0 > -1 なので、
-1 < \beta < 1
であり、
\alpha \leqq -\frac{p+q}2 < -1 < \beta < 1
が成り立ちます。
ここでもし α、β の両方が整数であったとすると、 β = 0 でなければなりません。 β = 0 ということは e(0) = -1 が成り立つということなので、
e(0) = \frac{p-q}2 -1 = -1
であり、したがって p = q です。
このとき、
e(x) = x^2+ px -1
であり、 e(x) = -1 の 0 で無い方の解 α は α = –p です。
すなわち、条件Bが成り立つとき、条件1により p = g(1) とおくと p は素数であり、
g(x) = x^3+px^2-x
が成り立ちます。このとき g(n) が素数となる整数 n は 1,-1,-p の3個あって g(±1) = g(-p) = p です。 g(n) が素数になる n がこの3つしか無いのは、条件Bが条件3が成り立たないことを前提としているためですが、条件Aの検証で見たとおり、そもそも条件1及び条件2の双方が成り立つとき条件3は成り立たちません。
条件Bが成り立つことは想定外でしたが、よく考えてみると条件Bが成り立つとき n の個数は3個なので、条件Bは n が4個以上あるための必要条件ではありません。したがって考慮の対象外となります。