多項式の恒等的正負判定には平方完成! – 1994年東大 数学 第1問

1994年東大 数学 第1問 小問2の解法
g(x) は因数分解できそうにないので、こいつはセオリー通り微分するしかなさそうですが、その前にまず、小問1の結果が利用できるように
g(x)= xf(x) + \frac{1}{120}
と変形してみます。
その上で微分すると
g'(x) = f(x) +x f'(x)
なので、任意の実数 x に対し xf'(x) > 0 が言えればソッコー g'(x) > 0 が言えて一見落着なのですが、 x < 0 ならば xf'(x) < 0 なので世の中そんなに甘くありません。
そこでいわく有りげな係数に着目します。
\begin{aligned} g(x) & = \sum_{n=0}^5 \frac{1}{n!} x^{5-n} \\ & = x^5 \sum_{n=0}^5 \frac{1}{n!} \left (\frac{1}x \right) ^n \end{aligned}
ですが、ここでいささか反則ながらテイラー展開と言うものを知っていると、g(x) は指数関数 ex のテイラー展開
e^x= \sum_{n=0}^{\infty} \frac{1}{n!} x^n
に似ているので、
h(x) = \sum_{n=0}^5 \frac{1}{n!} x^n
という関数を導入しようと思いつけます。
すると x ≠ 0 のとき
g(x) = x^5h(\frac{1}x)
が成り立ちます。
ところで h(x) を微分すると
h'(x) = \sum_{n=0}^4 \frac{1}{n!} x^n
なので、 f(x) は h'(x) を用いて表現できそうです。すなわち x ≠ 0 のとき
\begin{aligned} f(x) & = \sum_{n=0}^4 \frac{1}{n!} x^{4-n} \\ & = x^4 \sum_{n=0}^4 \frac{1}{n!} \left (\frac{1}x \right) ^n \\ & = x^4h'( \frac{1}x) \end{aligned}
です。したがって
h'(x) = x^4f(\frac{1}x)
が成り立つので、 x ≠ 0 のとき h'(x) > 0 です。
さらに h'(0) = 1 > 0 なので、任意の実数 x に対し h'(x) > 0 が成り立ちます。
よって h(x) は単調増加関数であり、 h(0) = 1 > 0 なのである実数 β < 0 がひとつだけ存在して
\begin{aligned} h(x) & > 0 ( 0 \leqq x ) \\ h(x) & > 0 (\beta < x < 0) \\ h(\beta) & = 0 \\ h(x) & <0 (x < \beta) \\ \end{aligned}
です。したがって
\begin{aligned} h( \frac{1}x) & >0 ( 0 < x ) \\ h( \frac{1}x) & > 0 ( x < \frac{1}{ \beta}) \\ h( \beta) & = 0 \\ h( \frac{1}x) & <0 ( \frac{1}{ \beta} < x < 0) \\ \end{aligned}
であり
\begin{aligned} g(x) = x^5h( \frac{1}x) & >0 ( 0 < x ) \\ g(x) = x^5h( \frac{1}x) & < 0 ( x < \frac{1}{ \beta}) \\ g(\frac{1}\beta) = \frac{1}{ \beta^5 } h( \beta) & = 0 \\ g(x) = x^5h( \frac{1}x) & >0 ( \frac{1}{ \beta} < x < 0) \\ \end{aligned}
が成り立ちます。
g(0) > 0 なので結局
\begin{aligned} g(x) & > 0 ( \frac{1} {\beta} < x) \\ g( \frac{1}{\beta}) & = 0 \\ g(x) & <0 (x < \frac{1}{\beta}) \\ \end{aligned}
が成り立ち、 g(x) = 0 は負の解 \alpha = \displaystyle\frac{1}{\beta} をただ一つ持ちます。
\begin{aligned} h(-1) & = \sum_{n=0}^5 \frac{1}{n!} (-1)^n \\ & = 1 -1+ \frac{1}2 - \frac{1}6 +\frac{1}{24} - \frac{1}{120} > 0 \end{aligned}
なので β < -1 であり、したがって -1 < α です。