東大、京大、東工大入試問題 解法のツボ

各大学の特徴
どの大学も難問を繰り出してきますが、ただ難しいだけではなく、大学ごとにはっきりした個性があるところが、面白いところです。
東大
まずは東大です。東大の入試問題にはあまり奇をてらった設問は無く、威風堂々とした東の正横綱的風格があります。
例えば、今なおキング オブ 難問の名を欲しいままにしている1998年後期理系第3問です。手掛かりが全くないのでどう解けばよいのか全く分からないのですが、きちんとした論理構造があって、それに気が付けば思いのほか無理なく解けるようになっています。
また、2020年理系第4問は多項式の解と係数の関係がベースの問題で、これも論理を丹念に積み上げていけば、解けるようになっています。
東大の問題は計算をたくさんさせることもありますが、比較的すっきりした切りのいい答えが出るようになっていて、泥沼感は少ないです。
京大
京大の入試問題は、ワンアイデアでスマートに解けるものが多く、ひらめき重視の洗練されたイメージがあります。
例えば、2016年理系第2問は一見難解な設問ですが、ちょっとした気づきのツボを押さえれば、一気にサクッと解けます。計算量も少なく、爽快な気分が味わえます。2021年理系第6問の小問1も同様の傾向の問題です。
一方で、設問それ自体も短く簡潔で、垢抜けています。特に2006年理系後期第6問は問題文が実にワンフレーズで、正にスタイリッシュ京大の真骨頂です。
東工大
東工大の数学は他学問への応用を意識しているのか、計算量が多いという特徴があります。
例えば2011年第4問は回転体の体積を求める問題ですが、場合分けがあったりして計算量が多いため、時間内に正確に答えを出すのは大変です。
また、2017年第4問も、無理数の計算が大量に現れて、注意しないとドロドロになってしまいそうです。
もちろん、計算量だけと言うことはなく、論理的思考力も問われます。2019年第4問などは空間認識力も問われる難問で、正解にたどり着くのは至極大変です。
以下、出題ジャンル別の解法ポイントを記述していきます。
素数問題
何かが素数であることを証明せよ、みたいな問題の時の、解法のツボは次の通りです。
①実際に計算して傾向を見る
いくつかのケースを実際に計算してみて、本当に素数になるのか、素数にならない時はどういうときか、確認して傾向をつかみます。以下の問題のような場合です。
②対偶を取る
素数であることを証明するよりも、素数でないことを証明することの方が簡単なので、証明する命題の対偶をとってみます。以下の問題のような場合です。
剰余類問題
剰余類を使って数字を分類するような問題における、解法のツボは次の通りです。
①全パターン計算してみる
入試問題なので、剰余類の法がべらぼうに大きいということはまずありません。高々数パターンなので、実際に計算してみましょう。以下の問題のような場合です。
②素数を法とする剰余類の場合、積の逆元が存在することを利用する
素数 p を法とする剰余類では、0でない剰余類に対する積の逆元が、必ず1つ存在します。たとえば 7 を法とする剰余類において、3の逆元は5です。実際、3 × 5 = 15 ≡ 1 (mod 7) です。
この性質は学校では習わないので、引用には注意が必要ですが、知っていると大変便利です。以下のような問題の場合は、必須と言えます。
代数方程式問題
2次方程式や3次方程式の問題における、解法のツボは次の通りです。
①判別式を使う
二次式が常に正であるとか、常に負であるとかを証明する場合は、まずは判別式を計算してみましょう。 以下の問題のような場合です。
②解と係数の関係、対称式に帰着させる
解と係数の関係、対称式に帰着させると、どう取り組めばよいのかがはっきりしてきます。以下の問題のような場合です。
③次元を落として2次方程式、3次方程式に帰着させる
与式が高次の場合に、適当な多項式等を X と置いて、与式を X の二次式や三次式に帰着させる方法です。 以下の問題のような場合です。
同じ発想は方程式の根号を消すのにも使えます。以下の場合です。
図形問題
図形の問題における、解法のツボは次の通りです。
①上や横から見た図を描く
空間図形の問題の場合、その図形を上や横から見た図を描いて、イメージをつかみます。以下の問題のような場合です。
数列、漸化式問題
数列、漸化式の問題における、解法のツボは次の通りです。
①複数の漸化式を立ててみる
満たすべき条件が複雑であるとか、登場する変数の種類が多いなどと言った場合、最初から1つの漸化式にまとめようとはせず、漸化式を複数立ててそれぞれの一般項を求め、あとで統合します。以下の問題のような場合です。
②隣接項差分式を導出する
数列の一般項を導出する際の定番、隣接項差分式です。以下の場合では威力を発揮します。
一般項の導出が難しいときにも使えます。以下の問題のような場合です。
③級数和の極限を積分挟み撃ちで求める
級数和を具体的に求められないのに、その極限を求める場合には、このアプローチが有効です。以下のような場合です。
どのように解けばよいかわからない問題
回答の方針が立てられない問題における、 解法のツボは次の通りです。
①簡単な例で傾向を見る
問題を特殊な理解しやすいパターンに限定したり、より単純なアナロジーに落とし込んだりして、傾向をつかみます。以下の問題のような場合です。
②アプローチを変える
A → B の順番で証明したいが A の証明が難しいとき、 A が不要な B’ を使って問題全体の回答に結び付ける、などというように、問題のアプローチを変えてみます。 以下の問題のような場合です。
③新しい概念を導入して条件の縛りを緩める
問題を解くにあたって、場合訳が多くて条件が複雑な時、新しい概念を導入して条件のいくつかを考慮しなくて良くなるようにします。以下の問題のような場合です。